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【視点】山本病院事件 聴取拒否 「故意」立証難しく(産経新聞)

 山本病院の患者死亡事件は当初、奈良県警が医師による手術では異例ともいえる傷害致死容疑での立件を目指した。捜査の成否は、手術が「治療行為でなかった」ことを立証できるかどうかにあった。

 捜査関係者によると、死亡した患者の腫瘍(しゅよう)は、良性の肝血管腫で大きさからも切除する必要はなかったとされる。肝血管腫とがん腫瘍の判別は「医学部生でも可能」(医療関係者)なほど容易で、県警は、山本容疑者らが、がんと故意に誤診をしたうえで不要な手術をした疑いもあるとみて傷害致死容疑の適用を目指してきた。

 傷害罪は、人を傷つけようとする故意に基づく行為に適用される。しかし、今回は、免許を持つ医師による手術のため、通常の傷害罪が適用される「ナイフで人を刺す」といった目的と、行為に伴う結果が明らかなケースではない。このため、山本容疑者らが「治療するための手術ではない」と認識していたことの立証が必要だった。

 県警は、患者のCT画像などを外部の専門医に鑑定してもらい、山本容疑者らが「肝血管腫と知りながら、がんと虚偽の診断をした」ことを示す間接証拠を積み重ねてきた。しかし、山本容疑者は任意での聴取を拒否し、故意を直接立証するために重要な供述での裏付けが難航。業務上過失致死容疑での逮捕になった。

 県警はさらに、傷害致死罪の適用も視野に、診断の経緯を調べる方針だ。虚偽診断によって手術が行われたとすれば、「人体実験」(捜査員)であり、医療とは全く別ものである。今後の捜査が注目される。(永原慎吾、藤井沙織)

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